- スポーツライター・小宮良之のブログ -
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2010.04.13 Tue 11:02
読書の春
最近、貪るように本を読みました。むしゃむしゃ。
ざっとリストアップします。

楽園(宮部みゆき)
熱球(重松清)
不自由な心(白石一文)
フィッシュストーリー(伊坂幸太郎)
告白(湊かなえ)
悪人(吉田修一)
女たちは二度遊ぶ(吉田修一)
7月24日通り(吉田修一)

どれもオススメです。
なかでも、「悪人」は秀逸。人を駆り立てるエネルギーとはなんなのか?
登場人物たちの孤独が切ない。人はこれほど誰かとつながりたがっているものなのですね~。

そして素晴らしい文学作品は、素敵な自分自身の思い出も掘り起こしてくれるものです。

あれは僕が小学5年生のときでした。6年生の卒業式リハーサル、僕と数人の悪ガキたちは、式場から抜け出しました。
「こんな退屈なことやってられっかよ」と文句を言いながら。小さな脱出劇を誇っていました。まあ、悪ぶっているけど、たいした悪もできない、そんな程度の子供だったと思います。
気の合う奴らとちょっとだけ枠から外れる、それが格好いいみたいな。今から考えれば浅はかだし、同時に可愛いななんても思います。
でも、式から抜け出した一件が担任にばれちゃいまして。
僕らは教室にいる先生に一人ずつ呼び出されました。げんこつの一つでももらえばくらいの軽い気持ちでした。ところが最初に出向き、戻ってきたトモダチの顔から生気が失われていました。もう笑えない感じで。
やがて僕の番になり、それなりの覚悟を決め、教室に入りました。先生は先生用の椅子に座り、机でジム仕事をしているようで、視線を合わせてくれません。とりあえず近づくと、座れ、と言われたので、どっかから椅子をもってこようとしたら、床を指さされました。
土下座か、と思ったけど、しょうがないかなと。床がひんやりと冷たかったのを覚えています。
彼は恐ろしく落ち着いた話しぶりで、僕らの行為を詰り始めました。その挙げ句。
「お前らみたいな人間失格の連中がいるから、世の中はダメになる」
僕はそれは言い過ぎじゃないか、と思いましたが、口答えは禁物なので、犬のように殊勝な顔つきで聞いていました。
すると、先生は自分の足元にあったぞうきんをおもむろに手に取り、それで僕の顔を拭いたんです。
「汚い奴は綺麗にしないといけないからな」
ぞうきんで顔を拭いたら汚くなるよ、と反論したかったけど、体育大卒の教師の腕力は異常に強く、なすがままでした。
顔は誇りっぽく、吐きそうな匂いがしました。
散々な目に遭い、とぼとぼと校門を出るときです。
唐突でした。僕は憎悪を感じたんです。今ならそう表現できます。当時はまだはっきりと感じたことのない感情だったと思います。こいつを許さない、どす黒い感情です。自分が悪いことをしたとしても、これはないんじゃないか、と憎しみが涌き、自分がその感情に囚われそうになるのを感じました。
でも、校門を出たところで友達たちが待っていてくれるのを見たら・・・何か救われるような気がして。
最初、みんな無言でそれぞれ歩き出しましたが、どのタイミングだったか、会話が流れ出した来たら、なんかたった今受けた屈辱がおかしく思えてきて。
「こんなことたいしたことないじゃん」て。横浜弁。
強がりもあったけど。憎しみの芽はつみ取られたんだと思います。
もし、彼らが帰ってしまっていたら、僕はどうなっていたかな?

大人になった僕はトモダチが人並み外れて少ない人間です。
べたべたと徒党を組む連中がそもそも嫌いなのです。
仲良し、得意じゃないです。
でも、人とつながっていたい、という気持ちは人並み以上に分かります。

そして、これからも人と人を結びつけられる作品を書いていきたい。
それが今の僕の仕事です。

「悪人」、オススメです。記憶の糸を辿る空想旅行を。物語のうねりに身を任せて。

悪人(上) (朝日文庫)悪人(上) (朝日文庫)
吉田 修一



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