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2010.06.07 Mon 16:52
社長、溝畑宏の天国と地獄
「オシムの言葉」で有名な木村元彦氏の著作。
大分トリニータの15年間と社長、溝畑氏を巡る物語だ。

官僚の「地方を元気にしたい」という言葉は白々しいことこの上ないが、溝畑氏は違った。
精力的な活動で、大分で0からサッカークラブを作り上げていく。周囲の無関心と横やりに何度も挫折しかけるが、その度に彼の男気に触れた男たちが助け船を出す。そのやりとりに胸が熱くなる。
だが溝畑氏のエネルギーは諸刃の刃とも言え、目立ちたがり屋の性格は敵も作り、日本一になった瞬間に崖から突き落とされるのだが・・・。

大分はJ2に降格し、借金まみれのクラブになったことから、溝畑氏に関しては否定的な声も多い。いまでは観光庁の長官であり、「やり逃げ」ではないか、と。
しかし、本書を読めば、それが短絡的な結論漬けであることが分かるはずだ。

僕は、溝畑氏にヘスス・ヒルという稀代の悪役会長を重ねた。
まったく毛色は異なる。しかし、自分が好きで、人が喜ぶのを見るのが好きで、そしてサッカーに狂っているという点で。
ヒル会長は、自身のクラブ、アトレティコ・マドリッドを廃墟同然から強くすることに全力を尽くした。つまり、金が必要だった。実業家としてクラブにポケットマネーをつぎ込むが、それでは飽きたらず、やがてマルベージャ市の市長に当選。「観光地マルベージャ市の宣伝だ」と言い張り、4億円以上を捻出し、その他、税金から5年間で40億円以上の使途不明金がチームに流れたという。結果、彼には捜査が及んだが、結局墓場まで真相を持って行った。

断っておくが、溝畑氏が本書の中で不正を犯した事実が出てくるわけではない。彼は金に関し、清廉潔白の人のようだ。
しかしはっきりとしているのは、会長としてフットボールクラブを率いるのは半端な仕事ではない、ということである。ヒルは自分の都合でチームをいじり、お調子者の性格も「品がない」と糾弾されることしばしば。
でも、そんな男だからこそ、誰もが見捨てた借金だらけのクラブを立て直し、欧州で有数のチームにまでしたのではなかろうか。
男としてのバイタリティーを二人からは感じる。是であれ、非であれ。

フットボールクラブは綺麗なだけでは存続し得ない。
本書はそのことを教えてくれる。
ワールドカップ前、有象無象のサッカー本が出ているが、数少ない大人が読める良書である。

社長・溝畑宏の天国と地獄 ~大分トリニータの15年社長・溝畑宏の天国と地獄 ~大分トリニータの15年
木村 元彦

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